ここではNanoCulture® Plateを用いた様々な学術データをご紹介しています。
第69回 日本癌学会学術総会の演題のご紹介
《骨肉腫におけるがん幹細胞の同定と解析》
岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 整形外科
国立がん研究センター研究所 がん転移研究室 藤原 智洋 先生
がん幹細胞(Tumor initiating cells: TIC)は、腫瘍形成、薬剤耐性や転移において重要な役割を担っていると考えられている。骨肉腫はヘテロな細胞集団であり、その中にはがん幹細胞も含まれていることが示唆されている。そこで、CD133とCD44をTICのマーカーとして用い、ヒト骨肉腫SaOS2細胞およびU2OS細胞に含まれるTICを分離したところ、全体の約14%のCD133+CD44+細胞が得られた。CD133+CD44+画分はその他の画分より強い薬剤耐性を示し、さらにNanoCulture® Plateを用いて培養すると、CD133-CD44+画分細胞より高いスフェロイド形成能が認められた。CD133+CD44+画分とその他の画分間におけるmicroRNAの発現解析を行うことでTICが腫瘍形成や薬剤耐性を引き起こすメカニズムが解明され、骨肉腫をターゲットとした新規治療薬の開発が期待される。
《三次元細胞培養プレートと画像観察装置による新規薬剤感受性試験法》
国立がん研究センター東病院(臨床開発センター) 中面 哲也 先生
SCIVAX株式会社 坂本 るり子
NanoCulture® Plate(NCP)を用いた三次元細胞培養では、播種した細胞が培養面の微細パターンを足場に遊走し、細胞同士が出合ったところで接着することを繰り返してスフェロイドを形成する特徴がある。乳がん細胞株及び乳がん初代培養細胞に抗がん剤を添加してNCPで培養し、イメージングデバイスを用いて経時的に撮影したところ、抗がん剤の濃度依存的にスフェロイドの遊走速度の減少およびスフェロイド同士の融合の抑制が認められた。さらに、この傾向は抗がん剤の添加から時間が経過するにつれて顕著に見られることが確認された。がん細胞株に加え、患者の切除検体から得られる初代がん細胞もNCPで三次元培養できることから、この新規の薬剤感受性試験法が将来的に新規抗がん剤の開発およびテーラード医療に利用されることが期待される。
《ヒト膵癌培養細胞の三次元培養による細胞形態・細胞骨格タンパクの解析》
日本医科大学病理学講座(統御機構・腫瘍学) 松田 陽子 先生
三次元培養はin vivoに類似する点が多いため注目されている。今回、ヒト膵癌培養細胞を用い、二次元、三次元培養における形態の変化、及び細胞骨格タンパク質の局在の変化について検討した。その結果、二次元培養では単層のシート状形態を示すのに対し、三次元培養ではPANC-1, KLM-1細胞はスフェロイドを形成した。PK-45H, MIAPaCa-2はスフェロイドを形成しなかった。α-tubulinの発現は3次元培養で亢進していた。F-actinの発現は、NanoCulture® plateのグリッド上に高発現した。以上より、培養条件によって細胞の形態や細胞骨格タンパク質の発現は大きく異なった。また、NanoCulture® plate を用いた形態解析の有用性が示された。
《神経膠芽腫細胞におけるネスチンの役割》
日本医科大学病理学講座(統御機構・腫瘍学) 手塚 潔 先生
ネスチンはClassVIに分類される中間径フィラメントで、神経膠腫ではgradeが高いほど強発現するが、その役割は明らかではない。今回我々は、ヒト神経膠芽腫培養細胞A172を用い、ネスチンの発現を抑制した際の変化について検討した。その結果、ネスチンの発現を抑制した神経膠芽腫細胞(Sh)は対照群(Sc)に比較し、増殖能、浸潤能、Sphere形成能は低下し、細胞外基質に対する接着能は上昇していた。SCIVAX NCPによる3D培養でScのスフェロイドはプレート接着面に足を伸ばした形態を、Shでは類円形の形態を示した。蛍光像ではScに比較しShでネスチンの局在減少が著明で、F-アクチンの局在は増加していた。以上より、ネスチンが、神経膠芽腫に対して抗腫瘍効果があることが示唆された。
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